今年も正月に山に登ったのですが、その時年末に買ったFM10を持っていったのでその感想。結論としてはイイよこれ!って感じでしょうか、もっともその前まで持っていってたのが30年近く昔のカメラNikomat-EL (ニコンの一眼レフのなかで最も重いと言われる)だったりするからでもあるのですが。
Nikon FM10
ぼくは白銀荘っていう公共の素泊まり温泉を利用して天気のよさそうな時に2泊3日ぐらいででかけ、毎日日帰りで山に登るのですが、こういうスタイルはカメラには苛酷な条件となります。なぜなら外で冷やされたカメラは屋内に持ち込まれるとすぐに結露してしまう上にカメラの温度がマイナス10度ぐらいだとそのまま結露した水分が凍ることもあるからです。それがいやなので僕はつねに山から戻ってきたら車のトランクに入れっぱなしにしているのですが、これは夜マイナス20度ぐらいになるこの場所ではこれもまたカメラにとっては苛酷なものだと言えます。
しかしそういった環境の中ではこのFM10は最高のカメラの一つとなります。
何より軽いー(おそらくニコンの一眼レフカメラ中で1番)
露光計を除いて完全に機械式なので電池切れの心配が無い(冷えても電圧低下の恐れが無い)。
電気回路がほとんど無いので雪が付いても水に少しぐらい濡れても問題ない
などの条件がそろっているからです。
重さも極めて軽いです。単焦点レンズをつけて持ち歩けば軽量化を気にする人でも山で持ち歩けるのではないでしょうか。
50mm 単焦点レンズ
135mm 単焦点レンズ
さて冬山での使用感ですが、一番心配していた手袋をしている時の操作のしやすさも操作系が
シンプルで大きいことが幸いして問題ありません。
欠点としてツメつきではないのでAi化以前のレンズ(20年ぐらい前)のを使うときは一度絞りこんで測光する必要があることです。ただこのカメラよりによって絞り込みレバーにロックが付いていません。これがほんとに大きな欠点だと思います。なぜなら持ってるレンズ全部Ai化以前のものなので(古すぎるだけか)。
ただこの絞り込んで測光してシャッター速度と絞りを調整してー というあたりは全部ウールグローブをつけた状態で操作できました。このメリットは大きいです。冬山だと手袋脱ぐこと自体が危険な上に手袋を脱ぐと長い時間カメラを持つことができなくて結局シャッターチャンスを逃すことがあるので。
あと、傷を気にしないのならばバックパックにケース等に入れずそのままほおりこんでおくのもいいと思います(そうしてました)。もちろん後で暖かいところにバックパックを持ち込んだときに水に濡れないようにするためのカメラが入るビニール袋ぐらいは持っていなければなりませんが。
大きさも水筒持ち歩くぐらいの気持で考えていいのではないでしょうか。実は最近の薄型デジカメパナソニックのLUMIXも持ち歩いていたのですが、小型軽量という点ではいいのですが、使う時になるとボタンの小ささや、低温、雪つきなどに対する不安からほとんどジャケットのポケットにいれたまま取り出すことがありませんでした。これならFM10を持ち歩いたほうがいいと思います。
酷評されることの多いシャッター音も冬に使うと音が吸収されるせいかバシャッという驚くほど乾いた歯切れのいい音がします、これには驚きました。「あれっ、こんないい音だったけ」と思わず思ってしまったほどです。
スキーやスノーボードに行く時にカメラ壊れたらやだなーとか低温下でちゃんと動くかなーと思っている方は買ってみてはいかかでしょう。マニュアルカメラの基本を覚えるのにもいいですし。
ただ付属のズームレンズはひどいそうなのですぐに別の単焦点レンズを中古でもいいから買われたほうがいいと思います。
シンプルでしっかりとした機能を持った製品はデジタル化とか新しい動きの中でも使える場所があるものです。今のパソコン、ノートパソコンも家電と組み合わされる多機能化に向かうか、CPU、メモリ、ハードディスクのみのシンプルな構成で行くかの分岐点にさしかかっているように思いますが、後々になってもどこかで使いたいのならシンプルな方を選ぶべきだとこのカメラを使って強く思うようになりました。
Nikon FM10 標準セット(FM10ボディ・Aiズームニッコール35~70mmF3.5~4.8S・カメラケース・ストラップ付)